吉田ユニがアートディレクションを手掛けた作品を一度は街中で見かけたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
「ラフォーレ」「SEIBU百貨店」などのポスター作品で知られる、アートディレクター・吉田ユニが紡ぎだす、素晴らしいアートワークを鑑賞します。
アートディレクションの特徴
吉田ユニのアートディレクションの特徴として、ちょっとした「毒」のアイデアをデザインの中に取り入れています。
「毒」といってもグロテスクなものではなく、ちょうどいい絶妙な加減で取りれているのが吉田作品の大きな特徴です。
独特の毒をうまく取り入れることで、よく見られるようなフツーのかわいい・美しいデザインとは一線を画しています。
絶妙な加減だからこそ、引き込まれるような世界観が生まれているのでしょう。
筆者が思うに、女性がもつ特有の「毒」の感覚は、男性では表現するのが中々難しいと思います。
女性をターゲットとした広告作品が多いですが、やはり大きなキャンペーンなどを打つときは、単純にクオリティが高いだけの広告や「かわいい・美しいだけ」ではダメなのでしょう。
また、アイデア自体はワンアイデアで作品に落とし込んでいるものも多いのですが、デザイン自体のクオリティが非常に高いので、逆にワンアイデアがインパクトを高め、観るものを引き込んでいきます。
制作手法としては写真によるイメージがほとんどですが、なるべくCGには頼らずアナログの手作り感を大切にし、セットや衣装は細部まで作り込まれています。
撮影で使われる小物などもオーダーメイドで作られているので、吉田ユニのこだわりが伝わって来ます。
吉田ユニの経歴
東京都出身。ホラー漫画好きで小学生ごろからデザイナーに憧れていたそうです。幼いころから「鑑識ごっこ」などの独特の遊びをしていたそうで、この頃より独特の世界観をつくる才能の片鱗をのぞかせていたようです。
女子美術大学卒業後、アートディレクターの巨匠・大貫卓也の「大貫デザイン」に入社。ここで広告デザインのイロハを徹底的に学びます。
在籍時にはラフォーレ原宿25周年キャンペーンの新潮文庫「Yonda?」キャンペーン等の制作に携わります。
その後、野田凪の「宇宙カントリー」にアートディレクターとして参加した後、2007年に独立します。
現在までに、アシスタントなどを付けずにディレクションやスケジュール管理まで一人でやっているそうですね。売れっ子アートディレクターなので超多忙の中、クオリティの高い作品を量産しているので、ストイックな制作姿勢が伺えます。
広告作品のみならず、パッケージデザインやCDジャケットデザインなども多く手掛けています。<ミュージック・ジャケット大賞2016>では星野源の「YELLOW DANCER」で大賞を受賞しています。
筆者はこの作品を見たとき単純に「良く出来ている」と感心し、よく考えられたジャケットとして大賞に選出されたのだなと思いました。
企業のみならず多くのアーティストや、タレントなどに指名を受けるほどの人気があるアートディレクター・吉田ユニの今後の活躍に期待が持てます。
吉田ユニを深く知れる作品集「YUNI YOSHIDA WORKS 2007-2019」