アフリカンアート「ティンガティンガ」の鼓動を感じる

ティンガティンガ

1960年代にタンザニアで生まれた「ティンガティンガ」というポップアートの手法をご存知でしょうか。
エドワード・サイディ・ティンガティンガが生み出し、動物や植物を色彩豊かに表現した絵画手法です。

この記事では、「ティンガティンガ」の作品を鑑賞し、色彩豊かで自由な発想を感じていきます。

元々、創始者であるエドワードは絵画教育などを受けず、建築現場にあるボードにエナメルペンキを使用し、動物や植物などを描き始めました。

タンザニア南部に生まれたエドワードは子供の時より、自然の風景や野生動物が身近なものとしてありました。
20代の時、首都ダルエスサラームに移り住み、庭師の仕事に就きますが、音楽やダンスでパフォーマーとしても人気があったようです。

1968年、エドワードは公務員となり公立病院で病棟の世話係をすることになりますが、そこにいる間、過去の思い出やイメージをアートで表現する時間があったようです。そこで「ティンガティンガ」が生まれました。

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高価な絵画用の画材などは買うことができなかったため、自転車用のエナメルペンキや光沢のある建築用合板を使用しました。しかし、ティンガティンガの活き活きとした作風を表現するためには、これらはうってつけの材料でした。

特徴としてはキャンバスの枠いっぱいに、人工物よりも身近な動植物である猿やヘビなどが描かれ、色使いが多様な点です。既存の美術教育を受けずに制作されたものであるため、自由で、まるでこどもが描いたようにのびのびと描かれています。

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自由で既存の枠組みにとらわれない活き活きとした作品群は、すぐに若者を中心に支持されます。

そしてティンガティンガは一つの表現手法としてタンザニアを中心にどんどんと広まっていき、弟子であるアーティストたちがその手法を引き継いでいきます。

tingatinga残念ながら創始者である、エドワードは警官に誤射され不慮の死を遂げますが、
亡くなった現在でもティンガティンガ・アーティストによってその手法は継承され、様々な作品が制作され続けています。

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また、現在ではダルエスサラーム郊外にティンガティンガの画家たちが集まった共同村「ティンガティンガ村」があり、そこでは日々、ティンガティンガアーティストたちが協働の工房で作品作りを営んでいます。

画家であるジミー大西氏も、絵画修行としてこの村を訪れています。
元々、ティンガティンガ作品に強い憧れをもっていたそうで、氏の作品にも大いにティンガティンガの影響が見受けられます。

ジミー大西氏の作品
ジミー大西氏の作品。ティンティンガの影響がうかがえる。

ティンガティンガが持つ自由な発想の作品群を、じっくりと鑑賞してみてはいかがでしょうか。