誰もが手軽に映像制作・配信を楽しめる時代になりましたが、第一線で活躍しているプロはやはり表現力やアイデアが群を抜いて違います。
この記事では新旧洋邦問わず主にミュージックビデオで活躍している優れた映像作家を紹介します。
児玉裕一
日本の映像制作の現場ではもはや重鎮といっていいほどの存在感を放つ児玉祐一氏。
椎名林檎や東京事変、安室奈美恵などのミュージックビデオを手掛け、CMなどの演出も得意とします。
東北大学卒業後、映像制作の世界に飛び込むために広告代理店に就職後、フリーの映像作家として独立。徐々に頭角を現していきます。
その後、主に音楽系の映像制作を中心に活動し、ジャンル問わず数々の賞を受賞しています。
児玉氏の得意とする映像表現はCGやモーショングラフィックスを演出の中に違和感なく溶け込ませ、斬新な演出を可能にしている点です。
また、個人的にはミュージシャンの演奏シーンを撮るのがどの監督よりも巧いと感じます。
巧みなカット割りと計算された演出によって、最後まで飽きさせない映像を作り出しています。
デビッド・フィンチャー
「ファイトクラブ」などの映画作品で知られるデビッド・フィンチャー氏ですが実はミュージックビデオでもその才能を発揮しています。
制作本数は40本以上。映画作品と同様、ミュージックビデオの世界観も重厚でソリッドな演出を得意としています。
映画を撮り始める前はミュージックビデオの制作を数多くこなしていたそうです。
作りこまれた映像表現はそのハイクオリティぶりに観るものを唸らせるものがあります。
彩度を落とし、光や影をうまく用いてフィンチャー色に染め上げているので「デビッド・フィンチャーの作品だ」とすぐにわかるのではないでしょうか。
完璧主義者のようで演者には100回以上リテイクをさせることもあるそうです。
ミュージックビデオではモノクロの色調の作品が多いようです。
山田健人
山田健人氏は楽曲の持つ魅力やアーティストの持つ世界観をドンピシャに映像として落とし込んでくれる監督かと思います。
大学在学中にモーショングラフィックの制作を独学で開始し映像制作のキャリアをスタートさせます。
yahyelというバンドのVJとして参加し、その後は数多くのミュージックビデオを手掛けていきます。
個人的には宇多田ヒカル「忘却 feat.KOHH」の神々しいほどの演出が映像の世界に引き込まれ圧倒されました。
SuchmosやBiSHなど様々な大物アーティストからも信頼を寄せられている映像作家でもあり、今を輝く才能あふれる作家のひとりです。
また、インタビューをみてもわかるように常に音楽と映像のあり方や関係性を考えて制作している作家でもあります。
林響太朗
多摩美術大学卒業後、クリエイティブ集団「DRAWING AND MANUAL」に参加。
アーティスティックな色彩感覚や光の表現で、最先端の映像作品を生み出し続けている若手作家です。
映像の特徴としてはどこか絵画的でもありグラフィックアートのようにも見え、フォトジェニックに表現されているものが多く、鮮烈なイメージを見るものに与えます。
光や色の使い方がとてもセンスが良く、どのシーンを切り取っても絵になります。
色彩感覚や構図の取り方がとても優れていて、鑑賞していて生理的に心地よい気分になれます。
フォトジェニックな作風を得意とするため繊細な感覚の作品が多いようです。
インスタレーションやプロジェクションマッピングも手掛けていて今後の活躍も期待される映像作家のひとりです。
ミシェル・ゴンドリー
ビョークのミュージックビデオでおなじみのミシェル・ゴンドリーは90年代から活動している世界的な映像作家です。
90年代の洋楽のロックやポップが好きな方は一度でも彼の作品を目にしたことがあるのではないでしょうか。
映像作家としては大御所的存在で数々の名作ビデオを生み出しています。
様々な革新的な表現を生み出しており、後世のクリエイターに与えた影響は計り知れません。
作風としてはとにかくアイデアマンなので様々な視覚表現を試みており、映像クリエイター以外にも多くのインスピレーションを与えてくれる作家でしょう。
ポール・トーマス・アンダーソン
「ブギーナイツ」「マグノリア」などの映画作品で知られるポール・トーマス・アンダーソン氏はミュージックビデオの制作でも遺憾なくその才能は発揮されていて、やはり映画的な作風でミュージックビデオを演出します。
フィオナアップル「Paper Bag」やレディオヘッドの「Day Dreaming」ではまるでミュージカルや映画を短尺で見ているかのような気にさせてくれますし、かつ、カット割りや展開もミュージックビデオとしてとても見やすい作りになっています。
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その他の秀逸作品
以下は個人的に面白い、感銘を受けたミュージックビデオをご紹介します。
ニュージーランドのギターポップシンガー、フェザーデイズのMV。
おそらく低予算で制作されているかと思われますが、アイデアの秀逸性とカット割りの巧さで斬新なミュージックビデオになっています。
色彩や使用しているオブジェクトにも気を使って観てみると作家のクリエイティビティの高さに気づかされるはずです。
ノルウェー出身のパブロ・ムニョスのプロジェクト、BOY PABLOのミュージックビデオ。
この独特でシュールなムードを細工も無くシンプルに表現できるのは本当にすごい事だと思います。
ロケ地をこの波止場のような所にしたのが粋です。楽曲自体も素晴らしいのですが、ミュージックビデオはこの表現がベストだと思うような傑作です。
このビデオは瞬く間に拡散され、世界的に注目されました。
東京都北区王子出身のラッパー、KOHHのミュージックビデオ。
スマートフォンの画面を素材にしたミュージックビデオは多くあるのですが、様々なアプリが起動して楽曲の時間軸と連動していくビデオはあまり見たことがなく、印象に残る作品となっています。
楽曲のダークなテイストと相まって非常に現代的で新しい表現となっています。
スマホ画面をアイデアとした作品はあいみょんの「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」なども面白いです。
英バンド、レディオヘッドの傑作ミュージックビデオ。
4分という尺の中でバンド演奏の魅力や想像力を搔き立てられるようなドラマを凝縮した秀逸作品。
その完成度の高さから当時、話題になりました。
カット割りや演者の演技などもすべてが完璧でお手本のような作品です。
レディオヘッドのミュージックビデオは傑作ぞろいなので他作品もチェックすることをお勧めします。
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