スピッツ、椎名林檎、バンプ・オブ・チキン、SUPERCAR、フィッシュマンズ…日本のロックシーンを支えてきたミュージシャン達には、素晴らしい作品がCDとして残っています。作品のイメージをリスナーが抱く世界観に少しでもマッチさせるために、アルバムジャケットをはじめとする”アートワーク”が存在するのかもしれません。
木村豊は90年代から現在に至るまで素晴らしいジャケットデザインを量産し続けています。この記事では「Music Jacket Gallery 2015」の大賞受賞者でもあるデザイナー・木村豊の作品を鑑賞していきます。
アーティストからの絶大な支持
木村豊のアートワークは様々なアーティストから多くの直接指名が入るほど、アーティストから絶大な支持があることが特徴です。
スピッツのアートワーク関連は特に顕著で、アルバム「ハチミツ」からはほぼ全てのジャケットデザインを手がけています。ボーカルの草野マサムネがデザインを気に入り、直接依頼をするようになりました。木村豊本人も元々スピッツのファンであり、特別な存在であるとインタビューで語っています。このアルバムデザインは特に思い入れがある仕事のようです。



経歴とデザインの特徴
東京都出身で日本デザイナー学院卒業。ソニーCBSデザイン部を退職した後、1995年にデザイン事務所「Central67」を設立します。レコード会社にデザインのプレゼンをかけていましたが、仕事の依頼は直接こなかったようです。前述の「ハチミツ」のジャケットデザインから徐々に仕事を獲得し、指名されるほどの人気デザイナーとなりました。
スピッツのほかには椎名林檎、東京事変のアートワークをデビュー時から多く手掛けています。「本能」ではナース姿の椎名林檎がガラスをたたき割るPVが一世を風靡しましたね。この作品はジャケットデザインのほかPVも監督しています。


デザインの特徴としては、イラストや色面構成でのデザインもありますが、写真を大胆に扱ってイメージを構築した作品が多いです。トリミングや構成の仕方が非常に卓越しており、イメージ一枚でアーティストが作り出す世界観を見事に視覚化しています。
筆者が思うに、写真を通して強いインパクトを残すアートワークは、英国のデザイングループ「ヒプノシス」の日本版のようにも思います。ドンピシャに世界観を視覚化できる実力は、アーティストから支持を受けるのも納得出来ますね。
「Music Jacket Gallery 2015」では椎名林檎「逆輸入 ~港湾局~」のジャケットデザインが大賞に選出され、今後新たな活躍が期待できそうです。

※「Music Jacket Gallery 2015」大賞受賞作品
















草野マサムネとの特別対談も収録された作品集も発表されているようです。
気になった方は手に取ってみてはいかがでしょうか。