カナダのロブ・ゴンサルヴェスというだまし絵(トリックアート)絵本作家をご存知でしょうか。
シュールレアリズムの技法をベースに夢遊病的な作品を残し、非常に魅力的な作家です。
ロブ・ゴンサルヴェスの作品を見ていると錯覚表現を利用しているせいか奇妙な感覚に陥り、ある種の気持ちのよい没入感を得ることが出来ます。
ロブ・ゴンサルヴェスは1959年にカナダに生まれました。
13歳のころから遠近法を習得し、建築図版を描き始め、エッシャーやダリなどの影響受けてシュール画も描き始めます。
マグリットの作品にみられる「マジックリアリズム」の表現とエッシャーなどによる絵画の中の正確な遠近法に感銘を受け、独自のスタイルを確立しました。
※マジックリアリズム…現実にあるもの/ないものを組み合わせて、魔術的なシュールレアリスティックな世界を構築する技法。
作品の特徴としてはシュルレアリズムに分類されますが、非常に正確な遠近法や建築設計の技法を用いて、かなり計画的に作品が作られていることが分かります。複数の視点から構成されており奇妙な感覚を体感しますが、どこかメッセージ性のようなものや作家の内省性のようなものも感じることも出来ます。
かなりイマジネーションが触発されるような作品かと思います。
これは個人的には日本の作家の石田徹也の作品にも同じような感覚を受けました。
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2005年にカナダの文学賞であるGovernor General’s Awardsのイラスト部門で受賞しています。
残念ながら2017年に自殺してしまいますが、ロブ・ゴンサルヴェスの作品は普遍的であり、鑑賞者をいつでも奇妙な世界に誘ってくれるでしょう。
日本では4冊の素晴らしい絵本作品が発売されていますので気になった方は手に取って鑑賞してみてはいかがでしょうか。
繰り返し見返したくなる魅力が詰まっていますよ。